悪質二種類ガン闘病記 ①     町の医院で何とか


 

2003年2月 (61歳)
最近、膀胱(ぼうこう)周辺部にウズウズとしたような不快な感覚が発生するようになった。

「いやだなー、何なんだろう?」

と思いながらも、仕事の忙しさにかまけて放置していたが、時々だった不快感が毎日のようになり、ついには「いつも不快」になってしまった。
これと合わせて頻尿状態がひどくなり、常時尿意を感じてウズウズ感がつきまとう上、排出後も残尿感が無くならないで、日夜苦しめられるようになった。心身ともに不愉快で落ち着きのない日々となっていた。

3月に入り仕事(建築関係設計業自営)が落ち着いた頃合いを見計らって、町の泌尿器科に行くことにした。泌尿器科医院の前に立ったが、何となくイカガワシイと いう先入観があるため、大変入りづらい医院です。意を決して受け付けに突撃し、所定の記入を済ませ待合室で順番待ち。うつ向き状態で薄目を開けて周りを見回すと、何やらイワクアリげで化粧濃いめのお姉さん、入れ墨でもしょっていそうなコワモテのヤクザ風中年おじさん、なぜだか幼子連れの若い母親風の女性、杖をついた80過ぎのお爺さん。

「皆さん、オシッコの悩みがあるのかなー」

などと勝手な想像をしていたら、先程入ってきた人と受付の人の会話にひっくり返りそうになった。性病のキャリアさんだったのだ。自分のことだけで頭が一杯だったが、いろいろな病気の悩みを持った人達が来ているのだ。

「えらい処に来てしまったな!」

と思ったが、しかし今更出て行く訳にもいかず、しかたがないのでそのまま順番待ち。1時間近く待たされ、やっと診察室へ。やや広めの診察室は色々な器具や装置が壁際に並んでいたが、隅の方の隠れるような場所に診察台が見えた。先生は70過ぎと思われる上品な紳士風で、ものごし柔らかく、優しい口ぶりに少し安心した。先生の前の丸いすに腰掛けて、

「どうしましたか?」

の問いかけに、不調の状況を説明。

「それでは診察台で仰向けになって下さい。ズボンを下げて」

先生の指示に、身を固くして緊張したが、それでも覚悟を決めて指示通りの仰向け状態で待った。ところが先生はいきなり私の両足を持ち上げて、あられも無い格好(赤ちゃんのおしめ換え姿)にした上、更にそのままエビ曲げ状態にし、あろう事かおしりの穴(肛門)に指を突っ込んでしまった。

「私は泌尿器科に来たのだ、肛門科ではない!」

心の中で叫びながらも、大いに当惑して先生のなすがままにされていると、何だか変な感覚を覚えた。先生はおしりの穴から突っ込んだ指を、伸ばしたり縮めたりしながら強引に膀胱(ぼうこう)をいじくり回しているのだ。膀胱が押されたり、もまれたり、引っ張られたり極めて変テコな感覚だが、やりたい放題の先生はその作業を止めようとはしない。

「ギエーイー!何てことをするんだ。こんな裏ワザがあったのかー!」

思いは駆け巡ったが、羞恥心なんか何処かへ吹っ飛んでしまった。なぜだか、こんな事までして調べてくれる先生の姿が神々しく見え、天下の名医に思えてきた。すっかり先生を信じ切ってしまう事になり、次は検尿、採血と続き、先生前の丸いすへ。

「触診の結果、前立腺に腫大、ガン、石灰化等の問題病変はありません。ただ、尿に潜血が見られますね。何かの炎症が有るのかも知れませんので、抗生剤を2週間分出しておきますね。」

言いながら先生は、カルテに何かを書き込んでいた。

「先生は前立腺をいじくっていたのか、膀胱じゃなかったのだ。考えてみれば、私の年齢では前立腺ガンの方が問題視されるのが当然のことだ。だから先生は念入りに調べてくれたのだ。膀胱周辺のムズムズ不快感は何かの軽い炎症らしい、問題なし!」

大安心で薬を片手に帰路についたのです。

 

2週間経ち、不快感は無くなっているはずなのに一向に良くならない。抗生剤の効果も全く見られない。只、薬が合わないのかも知れないとも考えられる。
何とか病気ではない言い訳がないか、暫く様子を見た方がいいのではないか、哀れにも「ワラをもつかむ」弱者の姿そのものです。又先生を訪れ、更に2週間分の抗生剤を処方され、すがるような気持ちで飲み続けたが、改善は全く見られなかった。これは絶対おかしい。抗生剤を4週間も服用して症状が治まらないのは、原因が別の処にあるのではないか。私のような門外漢でもそう考えるに至った。先生にすがりつくのは間違っていたようだ。最初にこの先生を信じ込んでしまった自分のウカツさが悔やまれた。又いつものように「初対面の人を信じてしまう」お人好しが出てしまった。やっぱり

「ちゃんとした病院に行こう。しっかりした検査と診断を受けよう」

そう思うに至った。最初からそうすべきだったのだが、多分病気を怖がっていたのだと思う。それは自分でもよく分かった。逃げ回っていても何の解決も得られない事は充分承知していた。

「もし重大な病気だとしても、戦うしかない。家族のためには前を向く以外ない。万が一軽い病気だったら、それは有難い事だ」

そう考え、決意が固まった。やっと入り口に向かって歩き始める心境に達したのです。
明日は病院に行こう!
(2に続く→16まで)

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