悪質二種類ガン闘病記 ②     いざ病院へ



2003年4月(61歳)
町の泌尿器科医院で道草を食って2ヶ月近くを無駄に過ごしたが、近隣で最も規模が大きく評判もよいと言われる医科大学附属病院に行くことにした。
ここは地域中核医療機関となっているため、初診の場合ほとんどの受診科で紹介状を必要としていたが、泌尿器科は割り増し初診料を払えば受け付けてもらえることになっていた。受付を済ませたら、初診の人はすべて総合診療科で診察を受け、その後各専門診療科にまわり受診することになります。

 

総合診療科で初診の問診を受けたり、現状の不快状態を説明したり、過去の病歴等の確認を受けます。その次は採血、採尿です。そしていよいよ泌尿器科のブースで待つことになりました。
待合ブースはかなり広々としていて、20人近くの患者が居てもそれ程混み合っている感じはしません。壁にはドクター毎の診察状況と待合順が表示される電光パネルが設置されています。ドクターは3人いるようです。各ドクターの待合順が次の3人になれば中待合室に移動して、個別ドクターの呼び込みを待つことになります。私の担当ドクターは18番診察室の森山先生です。私の受付番号は25番。22番が診察中となり23番、24番、の次の私が中待合へ入りました。中待合では18番診察室の前で呼び込み待ちになりますが、この診察室にも入り口の電光パネルで「診察中22番、次は23番」と表示されています。分かりやすいですね。

さて私の順番となり診察室に入りましたが、大変緊張しています。問診票に目を通していた先生は

「状況はわかりました、早速診察に掛かりましょう。隣の部屋になりますが、看護師さんの指示にしたがって準備して下さい。」

とのおおせです。

隣の部屋に入ると看護師さんから

「あのカーテンの中で、ズボンもパンツも脱いで下さい。置いてあるバスタオルで腰を隠して結構ですから、そのまま出てきてこのイスに座って下さい。」

とのご指示をたまわる。イスといってもただのイスではない。両足を60°位に広げて乗せる2本のアームがついている。要は分娩台みたいなイスのアームに両足を広げて乗せ、「股間を完全オープンせよ」とのご命令を受けたのです。一応腹はくくって来たつもりでしたが、早くも砕けそうになってしまいました。私の振る舞いに対して看護師女史の冷ややかな視線が突き刺さっているような気がして、そこもここも全てが縮み上がってしまいました。

「失礼します。消毒します。」

看護師女史の冷たい声がしたと同時に、私のチンチンは彼女の左手で引っ張られ、根元の周辺から先っぽへと極めて丁寧に消毒されていきました。「さすがプロだなあ」感心しながらも、されるがままにジッとしている以外どうしようもありません。
先生が入ってきました。

「かたりじさん、これから膀胱鏡(ぼうこうきょう)を挿入して、膀胱の中を見ますね」

私「・・・・」

先生が何やらガサガサさせて、ビニール袋の中から青色のシートを取り出しました。シートで私の下半身を覆い隠してしまいましたが、肝心の部分はちゃんと切り抜かれているのですね。そばに設置されているモニターにスイッチが入れられ、部屋の照明が消され、先生の手には膀胱鏡の挿入チューブ。さあ始まりです。手元照明のなか、先生は情け容赦無くチューブを突っ込んでいきます。・・・・・「ウグッ!」思わず声を上げたくなるような強い圧迫感に襲われる道中を経て、どうやら先端のカメラが膀胱の中に到着したようです。

「かたりじさん、途中でちょっと強い感覚の時があったと思いますが、あれは膀胱の出口の狭い部分を通過する時のものです。長く感じたかも知れませんが、全長10数センチの短いチューブです。それではじっくり見ますね。」

それから長い長い時間が経ったように思いました。ジッと目を閉じて嵐の通過を待つ心境だ。

「はい、ご苦労様でした、終わりましたよ」

先生の声が何と待ち遠しかったことか。「やっと終わった、結果が良くても悪くても、その中身の事はゆっくり考えよう」何となく訳の分からない思考力でそう思いました。

看護師女史が

「終わりましたよ。そちらで着衣を整えてくださいね。その後は診察室の前でお待ち下さい。」

忙しげに後片付けをしながらご指示を下さいました。

診察室前で待つこと10数分。呼ばれて先生の前へ。緊張の一瞬に身を固くする。

「かたりじさん、この写真をご覧下さい。キノコのような突出が見えますね。これはガンです。」

先生の声は神の響きを持っているようでした。更に先生の声は続きます。

「詳しくは、血液検査の結果やCTなどの追加検査をして調べる必要があります。ただし、ガンである事だけは間違いありません。」

新聞やテレビなどで見聞きしていた「ガンは患者に告知すべきか否か」なんてどこの世界の話でしょうか。この先生はガツンと直球をぶつけてきたではありませんか。先生は更に続けます。

「かたりじさんのこのガンは、問題を含んだ悪い顔をしています。充分に慎重な対応が必要です。」

はっきりと、自信満々で言いきってしまいました。

「あー、どういう事なんだ。これって命に関わるという事なのか。あー、あー、どうすればいいのだ。」

頭の中は真っ白なのか、混乱しているのか。その後先生とどんな事を話したのかよく覚えていません。診察室を出た時に、次回の予約票と各種検査の予定だか予約だかの紙を持たされていました。(3に続く→16まで)

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