悪質二種類ガン闘病記 ③    膀胱摘出か!


先生の膀胱鏡検査の日から1週間後、何種類かの検査を受けた。
1,造影剤注射をされてCT全身検査。
2,心電図検査
3,各部位のレントゲン検査と肺活量検査
4,その他何種類かの検査があったように思うものの、記憶が定かではない。
膀胱ガンのレベル・状態の確認、他の部位へ転移の有無、当面手術への準備検査、これらの目的で行われた諸々の検査だったように思います。
今日は検査だけなので先生の診察はありません。

 

各種検査の日から1週間後、すなわち初診日から2週間後、予約の診察は午後の最終時間帯です。今日は重大な診断が下されそうなので、妻も一緒に診察室へ入るつもりで同道しています。

「先生お忙しいからこんな時間なのかな?」

などと思いながら受付を済ませ、待合ブースへ。待合患者は少なめだが、何となく不安げな表情の人が多いように思う。いよいよ中待合に入ったが、今日の森山先生は18番診察室ではなく19番診察室になっていた。なぜだかは分からないが、病院側にも色々と事情があるのでしょう。

19番診察室に呼ばれて入ったところ、もう一人メガネをかけた男の先生がいて、やはり私を待ち構えていたようです。

森山先生 「かたりじさん、こちらは病棟の池上先生です。私と一緒にかたりじさんの病気について考えて頂く事になりました。」

メガネ先生 「池上です、宜しくお願いします。今日はあなたの病気について真剣にご相談したいと思います。あなたのこれからの事、お考え、ご希望など忌憚(きたん)の無いお話し合いをしたいと願っています。」

何だか私が考えていたシーンとは全く違う状況になっているようだ。事はそんな生やさしい話では無くなっているような、重苦しい空気が部屋中に満ち満ちている。

私 「検査の結果はどうだったのでしょうか。一応最悪の場合の覚悟だけはしてきたつもりです。どのような結論でも受け入れる準備はできています。」

本当はもう少し軽く受け止めていたか又はそう願っていただけなのか、自分でもよくはわかりません。それでも先生の前では強気のセリフが出てしまいました。

森山先生 「かたりじさん、あまり先を急がないで下さい。あなたの病気は膀胱ガンです。この病気は大変手強い相手です。ただし間違わずに治療をすすめればすぐ命に関わるという事はありません。どうぞご安心下さい。まずは状況を説明させて下さい。かたりじさんに発生したガンは、膀胱の内部表皮に突出形状で現れています。このガン組織が逆側すなわち、膀胱の外側に向かってどこまで根を伸ばしているかが問題です。経験的には、筋層、脂肪層を突き抜けて、近くの臓器に達している恐れがあると考えています。この段階のガンは根治が難しく、膀胱を摘出してしまう事が最良の治療であるというのが、日本のみならず欧米医学界の常識となっています。放置すれば全身に転移し、やがては死に至る事になるからです。」

私 「うーん、膀胱摘出ですか・・・・・辛いですね。」

森山先生 「膀胱を摘出した場合の具体的処置ですが、お腹に尿の排出口となる’ストーマ’という器具(蛇口の機能)を取り付けます。このストーマに尿受けの器をはめて、2~3時間に1回位の割合で尿を排出します。この病院には摘出された患者さんの暮らしが、なるべく普段と変わりなく過ごせるように、リハビリ説明会や相談会が常設されています。皆さん”慣れれば苦にならない”とおっしゃっています」

私 「うーん、膀胱摘出ですか・・・・・」

森山先生 「かたりじさん、最近ごく一部の医療機関で ”新ボウコウ” といわれる対応治療を行っている処もあります。これは膀胱摘出までは先程の話と同じですが、大きな違いはお腹にストーマを着けないという事です。膀胱摘出と同時に小腸の一部を切り取って、”代用膀胱”をつくり、それを今までの膀胱の代わりにして繋いでしまうのです。この方法だと見た目には手術前と違いはありません。決定的な違いは蓄尿の器がお腹の中にあるか、体の外にあるかという事です。ただし、代用膀胱は神経も何も通っていませんので、尿意を感じることができません。又膀胱のような柔軟な伸縮性もありません。」

私 「新ボウコウですか、うーん・・・・・」

森山先生 「ここの病院では新ボウコウの手術はしていませんが、ご希望されるのでしたらご紹介する事はできますよ」

私 「うーん・・・・・なんとか摘出しないで済む方法はありませんか・・・・うーん」

私の態度で話が行き詰まってしまい、しばらく沈黙状態が続いていたその時

池上(メガネ)先生 「やってみましょうか。できるだけ深く採って、根の張り具合を確かめてからでも遅くはないかも知れません。わずか5ミリ程の厚さしかない膀胱の壁ですが、ギリギリまでガン組織を採ってみれば、いろいろ次の手が考えられるかも知れませんね。ただし、できるだけ早く進めなければなりません。」

私 「お願いします! 是非その方法でお願いいたします。」泣き出しそうになる気持ちを必死で押さえて、夢中でわめいていました。

このようにして経尿道的腫瘍切除手術実施という事に決しました。この手術はチンチンの先端から内視鏡、電気メスなどがセットされ一体型になったチューブを挿入し、モニターを見ながら患部を削り取るという微妙な作業の手術です。池上先生はこの手術のベテランで、看護師さんの話では「失敗をしない先生」らしいのです。手術日は4月20日ということで入院手続きを済ませ、いよいよ戦いの準備が整いました。
(4に続く→16まで)

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