悪質二種類ガン闘病記 ⑧   迷い、民間療法


抗ガン剤治療を終えて帰宅してから、1週間が経った。体がだるい、食欲が無い、などの悪条件が重なり、無気力のまま過ごしてしまった。今日も、何気なしに健康雑誌を見ていたら、やたらガンという文字が目に付くので、パラパラめくってみた。ガンに関する記事が多いのには感心してしまう。世の中にはガンで苦しんでいる人が多いという事か。ガン闘病記や「あのサプリが良かった」風の経験談、玄米が良いらしいから、患者の会のベテラン患者さんアドバイスまで幅広くガンに関わる記事があふれている。薬と勘違いしそうな紛らわしい食品の宣伝や、「中国古来の・・・」特殊療法、見ていて飽きない雑誌ですね。

 

それでも頑張ってページをめくる。その中で「おやっ」と気になる呼びかけの記事が眼にとまった。「ガンと戦っている皆さん、絶対に直ります。絶対に死にません。諦めないで下さい」北九州市のお医者さんが訴えていた。いかがわしい記事かも知れませんが、大変気になります。
この「いかにも」の記事を発している人は、どんな手で善良なガン患者を丸め込もうとしているのか、あるいは医者と称する記事に偽りはなく、本当の赤ひげ先生なのか、確かめてみたくなった。

 

呼びかけに嘘がなく本当に良い先生ならば、是非話を聞いてみたいし、詐欺師のだまし話ならば無視すればいい事です。雑誌の出版社に問い合わせの手紙を出し、1週間位待ったところで返事がきた。丁寧な内容で、「この記事の主の小林先生は、北九州市の何代も続くれっきとした開業医です。ボランティア活動の一環としてガン患者を助ける活動をしている」という事です。返事には先生の住所、電話とFAXの番号が記されていたが、雑誌に載っている番号と同じものだった。偽広告ではなかったのです。

 

私の知らない、広い世間には奇特な方も居るものですね。早速、私の治療状況と不安な心境を詳しく述べたFAXを送らせて頂いた。折り返しのように返事が送られてきて、大きな字で「絶対に大丈夫です!死にません。思いっきり生きる力を出しましょう。」と書いてあった。何と力強い言葉でしょう。こんな事を言ってくれる医者なんて聞いた事が無いですね。落ち込みがちになっていた日々に、光明が差した思いがして、希望が持てそうな気がしてきた。

 

抗ガン剤治療を受けてみて、何となく不安と不信感を持ち始めていた時だったので、「しばらくこの先生に頼ってみようかな」という考えが持ち上がってきたのです。小林先生とのやりとりの中で理解できたことは「最大限自分の持っている免疫力を引き出す、体力を向上させる、酒・タバコなどの害になる物は全て排除する、希望を持って、楽しく生きる」ということです。そうすれば、他は何をしても良い。体が自然に頑張る力を蓄えるようになるという訳です。わけても、圧倒的な免疫力を得るためにはサプリメントの助けを借りても良いし、民間療法で納得のいく事があれば、それを実行するのも良い。積極的に意欲満々で生きる、趣味でも運動でも何でもいいから打ち込んで、真剣にやることなのです。

 

「取りあえず、良いサプリメントを探して、試してみよう」そんな意欲が沸いてきた。サプリ先進国アメリカの豊富な商品や日本の有名メーカーが手がけるサプリの数々、あまりに多くの商品が有るので選びようが無いナ。迷ったあげくリスクの無い安全な方法として、「患者の会の多くの人が勧めるものを実行してみよう」との結論になった。玄米ご飯、マルチビタミン・ミネラル、プロテイン、沖縄のニノ、キトサン、フコイダン原液、マカ、これ位で良いかな。どれもこれも決して安くはない。フコイダン原液など一升瓶1本2万円、これで2週間分。1ヶ月10万円近くの出費です。妻の意見は「命の値段としては安いもの」という事で、頑張ってくれる事になった。

 

サプリメント大量服用の効果は抜群で、自分でも驚く位の活力を感じる毎日だった。パワーが湧き上がって、力がみなぎるのが自覚できた。こうして自宅で免疫力向上に励んでいるうちに、抗ガン剤治療の再入院日が来てしまった。体調良好、気力充実、仕事に向かう準備OK。健康上の不具合は全く無し。「このまま治癒するのでは」と思われるので再入院は無断パスです。抗ガン剤はもうお断りです。体へのダメージが大きすぎる。デメリットや危険性についての記事も目にしている。はっきり「止めろ」という医者もいる。そして、揺れ動く葛藤の中で迷いに迷った結果、あの抗ガン剤は私には必要ないとの考えが固まっていった。
「無断キャンセルは、やや後ろめたいし、礼を失する行為とは思うがやむを得ない」そう自分を押さえ込んでしまった。「現状を継続していれば、そのうち完治する。来週から仕事を開始しよう。」そう決めて、「後は前向きの気持ちを仕事に打ち込むだけだ」と自分に言い聞かせた。

 

すぐに病気の事は忘れて、バリバリ仕事に励む日々がきた。新たな大型物件の話にも、積極的に取り組んで、3物件同時進行という荒技をこなす仕事ぶりを見せたりもしていた。夏を迎え、やがて秋になり紅葉の季節を迎えたが、体は絶好調だ。病気の心配は全く無くなった。ガンの方で逃げ出したかと思える程、元気な日々が続いていた。
(9に続く→16まで)

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