煙草のない世界 ③ 禁煙教育のすすめ~赤ちゃん 


     

タバコのない世界を実現するための基本理念として、「中毒患者を作らない」ことを掲げたが、これはタバコに限らずあらゆる薬物に共通のテーマとも言える。覚醒剤などの強力な麻薬に関しては、その中毒性から逃げ切ることは不可能に近いと言える。中毒状態に陥ってしまった時点で、ほぼ人生が決してしまう程、多くの人達が抜け出せずに苦しんでいる。一方タバコの中毒患者は抜け出せる方法が幾つもあり、麻薬中毒患者に比べると、割と苦しまずに立ち直る事ができる。ここに緩(ゆる)みが入り込む余地があるのかも知れない。喫煙者に共通の意識として、「時が来れば、止(や)めることはできる」との甘えが頭の片隅にある場合が多い。緩(ゆる)やかに、「やめるべき時にはやめる」つもりでいたのだが、結局は肺ガンや胃ガンになる方が先になってしまった、というようなケースがほとんどだ。今ここでは、中毒患者救出を論じることはしないが、その背負っている健康的リスク(上図)は知っておいて頂きたい。

 

「タバコ中毒患者を作らない」の基本は「赤ちゃんから無煙教育を始める」だ。

赤ちゃんの時期は「禁煙」に限らず、人間としての全般的な躾(しつけ)を念頭に置きながら、安全と心身の健康が最優先事項となる。ハイハイの時期になると、人格形成の要素も踏まえて、均整のとれた躾(しつけ)を始めるべきだと思う。社会性の動物である人間が最初に獲得しなければならない能力は、他の人間との調和であり、相互理解であると考える。この能力は人間だけのものではなく、犬、猫、家畜から野生動物、虫に至るまで、およそ社会性動物といわれる生物は、誰しも身に着けていなければならない、生存のための能力なのです。赤ちゃんがハイハイを始めた時、そこには必ず大人の人間がいて、その大人は何らかの意思を持って赤ちゃんに接する存在となる。しかし、赤ちゃんにはその大人が危害を加えるかも知れない存在かどうかは分からない。いつも優しいお母さんしか知らない赤ちゃんは、その大人に近づいていこうとする。

 

                    ここから大人の、「教え」を始めなければならない。躾(しつけ)であり、教育である。そうしなければこの子は最悪の場合、殺されるかも知れない、危害を加えられるかも知れない、社会から爪弾(つまはじ)きにされるかも知れない、そんな危険が待っているからだ。そして、この段階の第一の教えは「待て」であるどんな赤ちゃんもこの「待て」を一回で理解してしまう能力をもっている。「待て」にはどんな意味があるのか、どうして待たなければならないのか、全てを瞬時に理解してしまう。そうして、次は大人が何をしようとしているのか、状況を観ながら待機する。それが「安全に生きていくためには必要」である事を遺伝子レベルで受け継いでいるからだ。じーっとこちらを見て、指示を待つ。この「待つ」という教育は大変重要な意味を持っている。相手の出方を確認し、それが安全かどうかを判断し、安全と分かればその指示に調和しようとする。人間としての社会性を身につけるためには絶対に必要な「始めの一歩」と言える。赤ちゃんが自立するための「学び始め」というわけだ。そして「待つ」という行為により、その次の様々な思考への導入を促し、広げ、掘り下げ、深め、と発展的な知力の成長へと繋(つな)がっていく。

 

この時期こそ基本ルールを覚え込ませる絶対好機と捕らえてよい。水が吸い取り紙にしみ込むように、喜んで覚えてくれる。禁煙教育用の絵を見せたり、絵本を読み聞かせたり、優しくお話をしてあげたり、大人が与える材料にはどんどん興味を持ってくれる。それを思いっきり褒(ほ)めまくってあげる。保育園や幼稚園にいくまでは、このようにして嫌煙児を育てていくのです。これを「親のエゴ教育」などと誤解してはいけない。「タバコを吸う権利を剥奪・・」こんなおかしな話に正義はありません。

 

 

 

 

 

 

翻(ひるがえ)って、この「待て」を教わらずに育ってしまった子供はどうなるのかは、そこいらにいる悪ガキを観れば一目瞭然だ。野生動物にも劣る無秩序な振る舞いで、鼻つまみ者となっている。野生動物ならとっくに食い殺されているのだが、人間社会はこんな連中でさえ生かしてくれる、温情ある秩序を構築しているのです。そんな悪ガキだけではなく、違う形の悪質人間になってしまった者も臆することなくはびこっている。本当は自己利益しか興味が無いくせに、それをうまく隠して薄汚く生き延びている輩(やから)も、普通に目にする。「嫌な世の中」の主人公達だ。この種の人間は社会規範の圧力を受けた場合も、表面的には改善したように見せるが、絶対に本質は変われない、哀れな育ち方をしてしまった人達です。そして悪い事には、この手の人間は「煙草のない世界」を目指す人類にとっては、お荷物以外の何者でもないのです。この連中はその知識レベルの低さから殆(ほとん)ど必ずタバコを吸います。周りへの迷惑はおろか、自分の健康すら気を遣う能力がないのです。手に負えません。究極は、誰かが手を差し伸べなければならないのでしょうが、やりきれませんね。赤ちゃんの時に「待て」を教えなかった親を恨みたくなります。

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