煙草のない世界 ⑭ タバコ禁止反対勢力 栗山大臣


年の瀬、25日のクリスマスパーティーと称する政治資金集めパーティーを控えて、突然200枚ものチケットをキャンセルしてきたチャン国関係者の意図は何なのか、栗山大臣の事務所では必死の調査が進められていた。日チャン友好議員連盟会長であり栗山大臣の親分でもある貝塚議員の協力を得て、チャン国本土の情報収集もたぐっていたのだが、全く理由がつかめなかった。そのような時、内閣情報調査室の未確認情報として親分の貝塚議員に伝えられた最新情報がもたらされた。チャン国共産党中央部での発令として「日本との関係改善策を実施する。現国際情勢下に於いては、日本を主敵国から除外する。第2レベル以下の対日工作を全て中止する」との内容であった。第2レベルが何を差すのか、対日工作とは何なのか、詳細は不明であり、分析検討はこれからであるとの内閣情報調査室のコメントが添えられていた。栗山大臣の事務所としては、この情報をどう扱うのか、分析を行わなければならないのだが、残念ながらそのような能力は持ち合わせてはいなかった。

 

そこで、いつもの事として貝塚親分宛に「ご指導を賜りたい」旨の援助願いを発した結果、27日午前9時に貝塚親分の政策秘書である小島英雄の来訪を受けたのである。小島秘書が栗山大臣に問いかけた、「栗山先生、先ず最近の全般的なご活動から出来事まで全てをお話頂けませんでしょうか、雑談でも結構ですから」。これに応えて、栗山大臣がここ1年位の政治活動を丁寧に説明していった。そして、金取得(キム・シュトク)によるパーティー券200枚購入の申し出と突然のキャンセルに話が及んだ時、「先生ちょっとお待ち下さい」と言って小島秘書が栗山大臣の話を中断させた。暫(しばら)く考え込んでいたが、2~3度頷(うなず)いて、口を開いた。「先生、お聞き下さい。全ての筋道が繋(つな)がりました。詳しくご説明いたします」そう言って話し出した内容は、栗山大臣にとっても、事務所の秘書や事務員達にとっても、まるで想像も及ばぬ世界の出来事のように思われた。アメリカとチャン国の貿易戦争がパーティー券キャンセルに繋(つな)がったというのが小島秘書の最初の説明だったからだ。貝塚親分の事務所としては、チャン国の王博文(ワン・ハクブン)が定例の挨拶にきた時にちょっとした違和感を持ったそうだ。そして、栗山大臣に接触したいとの申し出があった時に、政治的な嗅覚に触れるものを感じていたのだが、特段の動きが無い限り問題視しないとしていたそうだ。そこでチケットキャンセルの動きが出た事が分かり、全ての説明が方向付けできる話になったという説明だった。

 

それでもまだ栗山事務所の全員がチンプンカンプンで、何がおきているのか全く理解不能状態だった。「アメリカとチャン国の貿易戦争が本格化するかも知れない状況になってきた現在、チャン国としては日本を自分の側に引き寄せる必要が生じています。そこで、日本弱体化策を打ち出していたチャン国としては、この策を一時的に中止し、日チャン友好の姿勢を示すことになった。さて、先生のパーティー券ですが、これを購入することは先生の政治活動を援助することに繋(つな)がります。お気を悪くしないでお聞き下さい。先生の地元活動はタバコ推進活動であり、日本にニコチン中毒を広める作用をしている訳です。そして日本中に中毒患者が増えることは、病人の増加と連動します。この病人の増加こそが彼等の狙う「日本劣化作戦」なのです。病人が増えれば健康保険財政を圧迫し、このまま増え続ければ、国家予算に及ぼす影響は恐ろしいものになります。チャン国共産党中央の発した第2レベル以下の対日工作には、先生への政治活動援助も含まれていたと見られます」小島秘書の説明はこのような内容だった。何という事だ。自分たちの活動は日本を劣化させ、チャン国や周辺国の利益のためだったとは。全てが理解できたと同時に事務所の全員が虚脱感に襲われてしまった。チケットの購入は「日本劣化作戦」の一環だったとは、全く次元の異なる身震いするような恐ろしい話だった。平和な農村の利益代表として、地域住民の幸せを願って頑張ってきたつもりだったのに。

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