煙草のない世界 ⑯ さあ立ち上がれ


20**年11月、東京の日比谷公園からデモ隊が出発し始めた、目指すは国会議事堂。人数は10万人を超えている。警察から「全員が国会に向かうのは交通事情で無理だから、10分の1位にして欲しい」との要請を受けていた。従って、都道府県別に隊列を組んでセレモニーに加わっていたのだが、北海道、九州などの遠方組が優先されることになった。それでも、東北、近畿位までの参加者は全員国会に向かうことができた。誰もがお祭り気分で、子供達は元気よく旗を振ったり、風船を上げ下げしたり晴れやかなデモ隊だった。報道関係者も我がちに走り回るのではなく、ユッタリとした取材活動でいつもとは違った姿を見せていた。しかし、このデモは大きな意味を持つ歴史的な行動であることを参加者の一人一人が理解していた。ついに、バラバラだった個人がタバコ追放のために一斉に立ち上がった、記念すべき出来事なのだ。漫然と平和で、何となく生活ができて、治安も破壊されている程ひどくはないし、特段の努力をしなくても非難される事もない。ジッとしていても少しも暖まらないが、出れば風邪を引く、そんなヌルマ湯に身を浸(ひた)しているような倦怠的な日常で、萎(な)え衰え、錆びてしまった情熱しか持たない人々、こんな怠惰な精神の半病人たちが、ついに身を起こしたのだ。 もうタバコの害には耐えられない、生存の瀬戸際でそう思ったのだ。

                                                                                                                                                      「日本からタバコを無くそう、タバコ禁止法を」 

 

  

                                                                                                                                                                                                                                  デモ隊の先頭には、福島瑞穂さんがいた! 共産党の志位委員長もいた! 蓮舫さんもいる! 自民党の小泉進次郞さんもいる! 日チャン友好議員連盟の貝塚親分もいる! 党派ごちゃ混ぜの国会議員先生たちもいる! やっぱり、国民の代表としての責任感から立ち上がったと見える。先生たちを取り囲みながら続くのは、デモ隊の誘導役を務めるボランティアの皆さん、そして各県のプラカードを掲げた普通の人たちだ。見渡してみれば、見たことのある顔は国会議員の先生たちだけだ。ややこしい連中の姿は見えない。デモ隊を内部からつぶそうとする反対勢力は全く姿を見せていない。純粋な「請願デモ」なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 11月の「東京タバコ禁止法請願デモ」の後、全国の地方都市では、誰はばかる事なく「タバコ禁止法上程請願」のデモが見られるようになった。地方の各地に、タバコ禁止法を願う人々が大勢いたのだ。タバコ勢力の力に押されて、無力感に押さえ込まれていただけだった。そんな人たちだからこそ、本当の願いは切実だった。「タバコ害の説明会」や「討論会」などの地道な活動が人の眼に触れるようになった。以前はネット上でわめくだけで、行動を起こすことの無かった若者達も、街頭に出て「タバコ追放運動」に加わるようになっていた。請願の中身も具体的な内容まで踏み込むものが増えて、違反者に対する罰則規定まで論ずる専門家も顔を見せるようになっていた。

「タバコ禁止法案」が超党派で国会に上程される日はそう遠くはないだろう。遂に日本からタバコが無くなる日が見えてきた。

 

 

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